住宅と土地の問題|南向きの土地の大きなデメリット
こんにちは。
相塲工務店の相塲です。
弊社は鹿児島市で、注文住宅、リフォームを展開しております。
自然素材はもちろん、高性能住宅や、設計の工夫で住んだ後を大事にした家づくりを皆様にご提供しています。
本コラムでは、弊社の家づくりについての考え方や、家づくりをお考えの皆様に”失敗しない”ための家づくりの考え方を知ってもらえたらと思います。
1 はじめに
注文住宅で家を建てようとする際、必ずと言っていいほど「土地探し」をすると思います。
両親からの譲り受けでなければ、全国の約8割は「土地探し」から家づくりがスタートするそうです。
そんな土地探しから家づくりをスタートする誰もが「土地を買うなら南向きがいい」とお考えになると思います。
南向きの土地は、
・間違いなく日当たりが良いし
・全ての部屋を南向きに出来そうだし、
・洗濯物もよく乾きそうだし、
・お布団も干しやすそう
このようなイメージが頭の中に膨らむからです。
そんなわけで「南向きの土地」は、土地探しをしている方たちから絶大なる支持を得ているわけです。
そんな多くの方の心を魅了する、全く非の打ちどころのなさそうなこの「南向きの土地」でさえ実は大きなデメリットが存在します。
今回は、そんな南向きの土地が持つ大きなデメリットについてお伝えしていきたいと思います。
もちろん南向きに限らず全ての土地がメリットとデメリットの両面を持ち合わせていて、そのデメリットの多くは設計によって
解決することが出来ます。
この南向きの土地に関しては、南向きのメリットが設計によるデメリットの解決を阻みやすいというなかなか厄介な問題を抱えています。
これをスッパリと解決するためには、建てる方の理解が必要となってくるので、ご理解いただく意味も込めてお伝えしていきたいと思います。
2 南向きの土地のデメリット
ズバリ南向きが持つ最大のデメリットが「予算が大幅にアップ」してしまうことです。
なぜ南向きの土地だから予算がアップするかというと、土地代はもちろん、建築代や外構代までも割高になってしまうからです。
土地代が高くなる理由
土地代が高くなる理由は、「需要と供給のバランス」です。
南向ききの土地は、土地探しから家づくりをスタートしている方たちから人気の土地です。
ここで、
”みんなが欲しがる=「供給<需要」”
という図式が出来上がります。
つまり、人気がある南向きの土地は、
・労力をかけなくても売れやすい
・あらかじめ価格が高く設定されている
・値引き交渉に応じてもらいにくい
以上3つの理由から、南向きの土地は高く買わざるを得ないというわけです。
では、土地が高い理由は分かるにしても、なぜ建築費用までも上がってしまいやすいのでしょうか?
建築費用が高くなる理由
住宅の建築費用が高くなる理由は、南向きの土地が「最もプライバシー性と防犯性が悪くなりやすい」からです。
高い費用を払って、南向きの土地を購入する理由は、
・日当たりが良い
・全ての部屋を南向きに作りたい
・南向きの窓からたくさんの光を入れたい
このような理由がほとんどです。
しかし仮にですが、これを全て実現した住宅はどうなりそうですか?
答えは、居住スペースが四六時中「丸見え」になってしまいます。
南側には道路があり、人通りがあるからです。
この外からの視線をシャットアウトするために、光を取り入れようとした窓には、全て遮光カーテンをつけなくてはいけなくなります。
レースカーテンだけでは丸見えを防ぐことが出来ないからです。
また、南向きの土地で南向きに窓を沢山つくるということは、向かって正面にガラスが多くなるということです。
つまり台風の時や強風の時に何かが飛んできても大丈夫なように、窓にシャッターもつける必要が出てきます。
また、旅行などで数日間家を空ける時は、防犯のためにシャッターを閉めておきたいでしょう。
このように、大きな窓の数だけ、高価な遮光カーテンとシャッターというオプション工事が必要になるというわけです。
外構費用が高くなる理由
また外構費用に関しても高くなります。
なぜなら防犯とプライバシー強化のための工事が必要になるからです。
この外構工事こそ、コストアップの大きな要因です。
例えばウッドデッキをつくるにしても、丸見えの場所にオープンでつくると
使いたくても恥ずかしくて使えませんよね。
家族でバーベキューをするにしても、プールをするにしても、日向ぼっこをするにしても、あまりに外から丸見えだと気が引けちゃいますからね。
このような理由から、家の中をカーテンで隠すのと同様に、目隠しのために塀をつくります。
その塀で、ウッドデッキスペースを見えないようにせざるを得ないというわけです。
かつ、家のカーテンや窓を少しでも開けられるように、目隠しのための植栽やフェンスをつくってもらわざるを得なくなるというわけです。
要は、「日当たりが良い土地」を買ってしまったがために「日当たりがいい間取り」をつくらないといけないという作用が働いてしまいます。
それが結果的に防犯性とプライバシー性の悪さを招き、それを解決するために先程申し上げたような解決策を講じなければいけなくなるわけです。
土地代だけではなく住宅も外構費用もコストアップさせてしまうというわけですね。
まとめ
いかがでしたか。
南向きの土地は相変わらす人気ですが、実際に南向きの土地に住宅を建てるとどのような未来が待っているかご理解いただけましたでしょうか。
これこそが本日お伝えしたかった「南向きの土地のデメリット」です。
土地費用、住宅費用、外構費用が上がってしますと、必然的に借入額が増加します。
あえて図式を見ると、
不動産屋もより儲かり、
建築会社もより儲かり、
外構屋もより儲かり、
銀行もより儲かるのに対し、
「建てた方だけが負担が上がる」という感じになります。
ですので、大人気の南向きの土地とは言え、「経済的なデメリットが存在すること」そしてそのデメリットは、ともすれば「最も厄介なものかもしれないこと」を是非知っておいてもらえたらと思います。