開放感のある家づくり3つのルール|視線の抜けと白を活かした設計術で心地よい住空間に

天井を高くしなくても開放感はつくれる

広さや高さだけが「開放感」の正体ではない

「開放感のある家にしたい」と希望される方は多くいらっしゃいます。​特に鹿児島市で家づくりを検討している子育て世代のご家族からは、「明るく広く感じる空間がほしい」というご相談をよくいただきます。​

一見、開放感を得るためには「天井を高くする」「部屋を広くする」といった方法が思い浮かぶかもしれません。​確かに、それらは効果的なアプローチです。​しかし、実際には天井の高さや部屋の面積だけで開放感が決まるわけではありません。​

心地よさを生むための設計ルールを知っておこう

開放感とは、視覚的な広がりや抜け感、そして空間の明るさといった複数の要素が組み合わさってはじめて生まれるものです。​つまり、「なんとなく広い」ではなく、「しっかりと計算された設計」があるからこそ感じられるものだと言えます。​

そこで今回は、弊社が家づくりに取り入れている「開放感をつくるための3つの設計ルール」についてご紹介します。​

 

ルール1|空間と仕上げから“凹凸”をなくす

直線的な空間が視覚に与える安心感

まず最初のポイントは、「凹凸のない空間づくり」です。​開放感を生み出すには、空間のラインが直線的であることが大切。​リビング・ダイニング・キッチン(LDK)のように、家族が長い時間を過ごす空間は、できるだけ整った直線のラインで構成しましょう。​

空間に凹凸があると視線が遮られ、圧迫感を感じやすくなります。​逆に、空間がスッと通っていると、人は自然と「広がり」を感じるのです。​

窓枠・ドア枠・家具…余計な情報を減らす工夫

また、空間的な凹凸だけでなく、「目に入る情報の量」を減らすことも非常に重要です。​

たとえば以下のような部材や要素が挙げられます。​

  • 窓枠・ドア枠・巾木
  • スイッチやコンセント
  • カーテンやカーテンレール
  • 照明器具や家具類​

これらの“突起物”が多くなるほど、視界に入る情報が増え、空間が雑然とした印象になります。そうなると、せっかくの広さや高さがあっても、開放感は損なわれてしまいます。​

そのため、極力これらの要素をシンプルに、目立たせない工夫が大切です。たとえば、枠を見せない納まりの窓や、壁面に一体化した収納、フラットな照明設計などは、開放感を高める効果があります。​

 

ルール2|視線が抜ける設計で広がりを演出

低めの家具配置や間仕切りの工夫

2つ目のポイントは「視線の抜け」です。空間に開放感を与えるには、視線がどこまで抜けるかが非常に大きな要素となります。​

最近ではSNSなどでも、家具を低めに揃えるというスタイルが人気ですが、これも視線の抜けを意識した工夫のひとつです。たとえば背の低いテレビボードやローソファ、オープンなシェルフなどは、視界を遮らず、広さを感じやすくなります。​

カーテン不要の窓で空にまで視線を通す

弊社ではさらに一歩踏み込んで、「カーテンのいらない家」をご提案しています。なぜなら、カーテンが視線を止めてしまうからです。​

せっかく窓の先に空や庭が広がっていても、カーテンがかかっているだけで視線が止まり、抜け感が失われてしまいます。逆に、視線がそのまま屋外へ、さらには空へと抜けていくことで、部屋の広がりは一気に増します。​

もちろんプライバシーや日差しの調整も必要なので、カーテンを使わずに済むような「外からの視線を遮る配置」「すりガラスや格子」などの工夫も取り入れています。​

 

天井・ドア・窓の高さを揃えると空間がつながる

さらに、私たちがこだわっているのが、「天井・ドア・窓の高さを統一する」という設計手法です。

例えば、一般的な間取りではドアの上に垂れ壁(梁下)ができてしまうことが多く、それが空間を視覚的に分断してしまいます。しかし、天井ラインとドア・窓の高さをすべて揃えることで、空間に連続性が生まれ、視線が奥まで自然に抜けていくのです。

これによって、「圧迫感のない開放的な雰囲気」と「洗練されたデザイン性」の両方を叶えることができます。さらに、カーテンが不要な窓と組み合わせることで、窓上の垂れ壁すらなくなり、視線は外へ、そして空へと伸びていきます。

 

ルール3|白を基調とした内装で明るさと一体感を

白がもたらす光の拡散と視覚的な広がり

開放感を語る上で「色の使い方」も欠かせないポイントです。

中でもおすすめなのが、「白を基調とした内装」です。壁・天井・建具を白で統一すると、日差しの強い鹿児島の自然光を効率よく反射し、室内をムラなく明るく保つことができます

とくに、南向きの土地など日当たりの良い敷地では、白の拡散効果が最大限に活かされ、家全体がふんわりと明るく仕上がります。逆に、トーンの暗い色を多用すると光を吸収してしまい、空間が重く感じられるので注意が必要です。

壁とドアを白で揃えると“一体感”が生まれる

さらに、壁とドアを同じ白で揃えることで、まるで一枚の面のように仕上がり、「面」としての統一感と視覚的な広がりが得られます。

ドア枠や取っ手の存在感をできるだけ薄くし、壁に溶け込むようにデザインすると、「ここにドアがある」という意識すら薄れ、空間がよりスッキリして見えます。結果として、室内の直線ラインが強調され、凹凸のない洗練された空間に仕上がります。

 

開放感と居心地を両立させた家づくりを

コストを抑えながら満足できる設計

天井を高くしたり、リビングを広げたりすれば、確かに開放感は得られます。ただし、それには相応の建築コストがかかってきます。

しかし今回ご紹介した3つの設計ルールを取り入れれば、コストを抑えながらも「本物の開放感」を感じられる家づくりが可能です。

  • 凹凸の少ない空間設計
  • 視線の抜けを意識した配置
  • 白を活かした光の拡散

このような要素をバランス良く取り入れることで、見た目の広がりと心地よさ、そして光に満ちた快適な室内環境が生まれます。

設計に迷ったら“3つのルール”を思い出そう

家づくりの打ち合わせや間取り決めの中で、「なんだか狭く感じるかも」「この間取りでいいのかな」と感じたら、ぜひこの3つのルールを思い出してください。

  1. 凹凸をなくし直線的な空間にする
  2. 視線が抜ける設計を意識する
  3. 白を基調にして光を拡散させる

この3点を取り入れるだけでも、空間の印象は大きく変わります。コストをかけずとも、設計の工夫次第で開放感は十分に演出できるのです。

 

まとめ|家族がのびのび暮らせる、広がりある住まいを実現しよう

「開放感」は、広さや高さだけではなく、設計の考え方次第で誰でも叶えられる要素です。

鹿児島市のように気候が温暖で日差しも強い地域では、窓や内装の設計次第で、家全体の居心地が大きく変わります。今回紹介した3つのルールを取り入れることで、家族がリラックスして過ごせる、視覚的にも心理的にも“広がり”を感じられる住まいが実現します。

おしゃれさも機能性も兼ね備えた「開放感のある家」にしたいとお考えの方は、ぜひ今回のポイントを参考にしてください。将来的にも満足度の高い住まいになるはずです。